はじめに
ネタバレ警告
タイトルの「ネタバレなし」は以下の動画・画像投稿ガイドラインに基づいています
ストーリーやサーヴァント真名のネタバレは序章で判明する一人を除いてしません。
アクション要素やミニゲームなどゲーム的なシステムについては解説していますのでご注意ください。
また、当記事には上記のガイドラインで「ネタバレ」にならない範疇のスクリーンショットが多数含まれます。
本記事を読み進める最終的な判断は、皆様の自己責任となりますのでご注意ください。
fateシリーズとは
7人の魔術師(マスター)が神話上の英雄や歴史上の偉人を英霊(サーヴァント)として召喚する。
そして手に入れればあらゆる願いを叶えられるという「聖杯」を奪い合い、殺しあう「聖杯戦争」を繰り広げる。
本作samurai remnantの戦いは“盈月の儀”と呼ばれるが、基本的なルールは過去作品でいう「聖杯戦争」と同じである。
基本情報
タイトル | fate/samurai remnant |
メタスコア | 80(PC) |
steamのレビュー | 非常に好評 |
開発元 | KOEI TECMO GAMES CO., LTD. |
パブリッシャー | KOEI TECMO GAMES CO., LTD. |
対応ハード プラットフォーム | PlayStation 5、 Nintendo Switch、 PlayStation 4、 Microsoft Windows |
総合評価:
アクション性 | |
シナリオ | |
世界観 | |
キャラクター | |
グラフィック | |
音楽 |
なぜ今レビューするのか?
最近「fate/zero」をイッキ見て、fateシリーズに興味が出てきたからから。fate/stay nightがsteamで発売されているが、ここはアクションゲーム好きとして本作をプレイすることにした。
急にやりたくなったからやったというだけだ
ちなみに難易度はハード相当の「剣豪」で行きます。
特徴
江戸の町
本作の舞台は江戸である。吉原、神田、赤坂など様々な名所に足を運べる
主人公の宮本伊織は江戸の町のひとつ、浅草で生活する浪人となっている
基本戦闘
宮本伊織はかの有名な宮本武蔵の弟子であり、二刀流を用いた「二天一流」という剣術を使う。
剣の型
最初は二刀流の「水の型」、一刀流の「地の型」の2種類のみが使用可能。ストーリーを進めていくと、更なる型が使えるようになる。
水の型は範囲攻撃性能に優れ、地の型は防御性能に優れる。
フィニッシュ技
それぞれの型に強攻撃と弱攻撃があり、弱攻撃は最大5回連続で繰り出せる。また、弱攻撃を連続で出したあとに強攻撃を行うと「フィニッシュ技」として派手な剣技を繰り出せる。
サーヴァントの操作には型の概念はないが、連続弱攻撃から強攻撃を出してフィニッシュという基本操作は共通である。
魔術
伊織はある程度の魔術の心得もあり、「貴石」というアイテムを消費して魔術を使うことができる
魔術は種類によって、ダメージを与える、回復、ステータスの向上といった効果がある。
貴石を多く使用する強力な魔術は、強力な敵の攻撃の予備動作中に当てると、動作をキャンセルさせ、スタンさせる効果を持つものもある。
サーヴァントとの共闘
本作で主に操作するのは宮本伊織である。セイバーは普段NPCとして戦っているが、攻撃指示を出したり、操作キャラを交代して操作することができる。
共鳴絶技
「共鳴ゲージ」を消費して放つ大技。サーヴァントが一人で放つ共鳴絶技と伊織とセイバーが協力して放つ「協力技」があるが、システム的にはさほど大きな違いはない。共鳴ゲージは敵が隙を見せる特定のタイミングで、敵を攻撃することによって溜められる。
交代
「交代ゲージ」を消費して操作キャラをサーヴァントに交代できる。交代できるサーヴァントはどれも伊織より強力。後述の外殻ゲージを通常攻撃で削れたりと、交代すること自体が、戦いの流れを変える大きな一手となる。
ちなみに、サーヴァントの必殺技である宝具は交代中にのみ放つことができる。
逸れのサーヴァント
マスターを持たない「逸れ」のサーヴァントも登場する。普段は特定の町などの霊地に紐づいているが、クエストをこなすなどで同盟を結ぶと、共闘することができる。
伊織、セイバーに次ぐ3人目のメンバーとしてカウントされ、セイバーのように戦闘中に交代したり、攻撃指示を出すことができる。
複数の逸れと同盟を結ぶことができ、呼び出せる逸れは拠点の長屋で入れ替えできる
無双ゲー
無双ゲーとは本作を形容する際度々用いられる表現。
開発・販売を行うコーエーテクモの代表的シリーズが「無双シリーズ」であり、本作もシステム面が似通っている。
らしい。やったことはない
評価点
期待感が絶えないストーリー
これは序章の内容なので言ってしまうが、主人公の伊織は宮本武蔵の弟子かつ養子であるのだが、今回の儀によって亡き師匠の武蔵が敵陣営のサーヴァントとして登場する。
この先はどんな展開になるのだろうとか、このサーヴァントの真名は何だろうとか、この二人の関係性はどういったものなのとか、そういった疑問が次々湧いて出るようなストーリーになっている。さらにそういった疑問のほとんどを、期待感に過不足ない程度に回収してくれる。
実を言ってしまうと、日本史には疎いので、セイバー以外真名がわかっても「え? 誰そいつ?」となった奴が多いのだ。それでもストーリーを進めていく道中は間違いなくおもしろかった!
謎なんて解いてしまえばただの事実。謎に向かって進んでいる過程が面白いのである。
コーデックス
サーヴァントの真名が明かされると、ステータスやどういった逸話を持っているのかという解説がアンロックされる。こういうのは読んでて面白い。
ちなみに史実に忠実というわけではなくfate世界オリジナルの設定もある。まあ元々アーサー王が女性だったという設定のエロゲから生まれたシリーズだし…
キャラクターの魅力
伊織とセイバーの関係の進展も本作の大きな芯である。
セイバーは初めは上から目線のクソガキだったが、儀を通じて段々と信頼関係が構築されていく感じが、説得力のある形で描写されていていいと思う。
伊織についても1周のみならず、3度の周回を通して徐々にキャラクターが掘り下げられれていくので深みが感じられる。
こういうのは長編JRPGの醍醐味だなぁと思う
豊富なミニゲーム
本作には様々なミニゲームがある。
犬猫と触れ合うという息抜き的なものから、刀を手入れすると一定時間獲得経験値上昇、仏像を彫って換金アイテムを作成、江戸の名所を巡って逸れサーヴァントの強化など。
これらは純粋にゲームを進めるだけなら、しなくてもよいものとして扱われており強制感もない。名所めぐりはスキル取得に関わるので、個人的には重要だったが。
「江戸」「侍」「fateシリーズ」といったキー要素が、一つのゲームにうまくまとまっていると思う。
江戸の雰囲気
小物、野菜や食べ物、ボロい木造建築などから何とも言えない生活感を感じる
江戸を観光するゲームとしてもなかなか楽しめた。
ストーリーに関する仕様
とにかく便利
メインストーリー、サブストーリー両方のムービーや会話パートを後から見直せる
2週目には既読ストーリーのみスキップする機能や未読ストーリーをスキップしようとすると警告が出る仕様がある。
ストーリーに力を入れているのが伝わってくる。シリーズ最初の作品、fate/stay nightはノベルゲームだそうだ。文章周りはノベルゲームの遊びやすさのノウハウがしっかり輸入されていると感じる。
逸れのサーヴァントとの共闘
自由に入れ替えできる3人目のメンバーというのが、ゲームを飽きさせない味変として楽しめた。
何人の逸れと共闘できるのかを言ってしまうとネタバレになってしまうが、操作できる逸れは皆、弱攻撃、強攻撃、共鳴絶技、宝具など操作キャラとして欲しい要素が不足なく作り込まれている。
ほかのゲームだとゲスト参戦キャラを作りこんでなくて、弱攻撃とジャンプくらいしかできないキャラとかいたりするよね…
得物も槍、弓、魔術などそれぞれのサーヴァントらしく個性があり、エフェクトも派手で見ごたえがある。なにより飽きたら他の逸れに変えられる。伊織とセイバーだけだとさすがに飽きが来がちな戦闘をより楽しめるナイスな仕様だった。
正直、キャラとしての強弱はサポート特化の一人を除いて、誰を選んでもそんなに変わらない。
ただしDLCキャラはめちゃ強い。
なにより逸れのサーヴァントにはFGOなどfate他シリーズのキャラクターも多くいるようだ。ソシャゲやノベルゲームで見知ったキャラを、3DCGや爽快なアクションというアクションゲームのフォーマットで追体験できるというのは、シリーズファンにとっても需要があるのではないだろうか。
賛否両論点
2週目の戦闘が作業
これはいろんなところで言われてる
本作はエンディングが3つあるが、分岐するのは中盤の終わりごろか、終盤の初め頃といった感じ。そこまでのメインストーリーは、エンディングに影響しない小さな分岐以外共通である。
2週目は2章から開始できるので、完全に初めから周回しないといけないというわけではない。
2週目にしか見られないサブクエストもあるので新しい要素が全くない作業というわけでもない。ちなみにメインストーリーの会話も一部変化があった。
正直、前回やった7 days to dieがあまりにヒドい作業ゲーの極みだったので、この程度の作業なら自分的にはノーダメージなのだが、忙しい人は気にするかもしれない。
おむすびなど回復アイテムの種類が多い
本作は食べ物で体力を回復する。おむすびがHP回復、お菓子で共鳴ゲージが回復できる。
その食べ物の種類が妙に多く、「おむすび」「胡麻むすび」「梅むすび」など多岐にわたる。
それらの回復量は実は微々たる差であり、例えば「おむすび」は563回復、「胡麻むすび」は688回復、「梅むすび」は875回復となっている。
おむすびがワンランク上がると、回復量が2割くらいで増えていく印象。もうちょっと回復量に差があったほうがわかりやすかった。どのおむすびを使って回復するか、種類が多すぎて迷う。
当然回復量の多いおむすびは値段も高くなる。
「残りHPが多いほど隙が少なくなる」という剣の型もあり、できれば最大効率でHP全快まで回復したいというのがゲーマーの性であろう。
fateシリーズには料理モノのスピンオフもあるらしいし、そちらの方面の需要に応えたのかもしれないが…
ちなみに回復量が最大のおむすびは舞茸むすび。確かに舞茸はおいしいが、おむすびに入れるか? トップ張るほどか? というかシャケや昆布やツナマヨがないんだが、時代考証的に当時はなかったということだろうか?
不満点
外殻ゲージ削り
外殻ゲージとは一言で言ってしまうと、「敵のボスに伊織の通常攻撃が通らない」という仕様。
通常攻撃が通るようにするには、敵の頭上に表示された丸いゲージを特定の行動で削りきる必要がある。
ゲーム内説明などによると外殻ゲージは以下の方法で削れる
- 共鳴絶技
- 協力技
- サーヴァントを操作しての攻撃
- 魔術
- 応刀
- 秘剣
- 敵の攻撃行動後、緑に光っているタイミングでの攻撃
さて、現実的にこれらの戦闘法が、どれだけ有用かを羅列して紹介していくと…
- 共鳴絶技:共鳴ゲージを消費するためいつでも放てるわけではない。ただし共鳴ゲージはアイテムで回復できる
- 協力技:これも共鳴ゲージを消費する、もしくはセイバーがランダムなタイミングで協力技を構え、伊織がそれに応えて放つ形になるため、いつでも放てるわけではない
- サーヴァントを操作しての攻撃:戦闘中に獲得する交代ゲージを消費しての交代となるためいつでもできるわけではない
- 魔術:輝石というアイテムを消費するためこれまた闇雲に放つと肝心な時に使えないことも
- 応刀:ジャスト回避後に放つ反撃技なのだが、回避のタイミングがシビアで狙って放つのは難易度が高め
- 秘剣:秘剣ゲージは溜まるのが非常に遅い。特に序盤は「戦闘中にとれる行動の選択肢に秘剣が入ってこない」くらいには溜まるのが遅い
- 敵が光ったタイミングでの攻撃:唯一何のリソースも消費せずに、伊織単体でも外殻を削れる行動
と、基本的に特定のリソースを消費して外殻を削るため、良く言えば各種ゲージの管理を求められて戦略的、悪く言えば後の戦いのために、常に出し惜しみを迫られるデザインとなっている
マジの強敵との戦いでは、共鳴ゲージを回復するアイテムを大量に用いての共鳴絶技連打で対処可能。
この外殻ゲージは、敵サーヴァントなどストーリー中重要なボスだけでなく、鬼やぬえなど「雑魚の中のリーダー格」くらいのやつでも持っている。こういった敵すべてにアイテムを使っていてはとてもじゃないが足りない。
風の型の魔力ゲージを使う攻撃なら通るとか、空の型なら外殻ゲージを削れるとか、スキルポイントを振っていけばいろいろ抜け道はある
が、それらはスキルのそろってくる中~終盤以降、下手すると2週目の話
序盤に共鳴ゲージや交代ゲージ、魔術などが尽きてしまうと、「敵を目の前にしてできることが何もない」という状況になりかねない。
相手の行動後、緑に光っている状態など攻撃が通るタイミングもあるので、詰むことはないのだが戦闘のテンポが悪くなっている
おそらくただの人間では英霊には敵わないという力の差を表現するための仕様だろうが…
しかも敵サーヴァントなどボスは外殻ゲージを1回以上張りなおしてくる。さらには2体のサーヴァントを相手にする機会も出てくるので…それはもう莫大な時間とアイテムが必要になってくる
アクションが単調
サーヴァントなどのボスはスーパーアーマー持ちでこちらの通常攻撃ではひるまない(スキルの揃っていない序盤)。
ではどう倒すか。おむすびを大量に用意し、HPを回復し続けるゾンビ戦法。さらに共鳴絶技に使う共鳴ゲージもお菓子で回復させまくってひたすらゴリ押す。
ストーリー上では「剣術を極めた侍の果し合い」という燃える展開でも、実際やっていることはこちらの大量に買い込んだ食料と、相手の気の遠くなるような体力&スーパーアーマーというリソースの押し付け合い。ある意味フェアなファイトかもしれないが、ダレるしものすごい時間がかかる
某所では「伊織がサーヴァントになったらおにぎりが宝具になる。」って言われててダメだった
霊地争奪がつまらない
霊地争奪とは陣取りゲームのようなもので、敵陣営を攻める際に江戸各地にある霊地を掌握する。メインストーリー中に何度も挟まるミニゲームである。
白い魔法陣であらわされた霊地を取り合う。自陣(青)敵陣(赤もしくは橙)で表される。
霊地上を移動する敵シンボルに触れると戦闘になる
行動回数を使い果たすか、伊織の本拠地である浅草を奪われると敗北になる。
自陣の霊地を一つ掌握されるたびにセリフが挟まり、テンポが悪い。「取り返さなけければ」「これも作戦の内なのか」などと紅玉の書やセイバーが言ってくる。一か所取られたくらいで狼狽えるな!
敵の一般兵が一言しゃべるたびに、そいつに向けてカメラがズームするのもテンポを悪化させる
感想
難易度上げたのは失敗だった。敵が無駄に硬くなるだけだった。初見のゲームはみんなノーマルでいいっすね。2週目以降とDLCはノーマル以下でのプレイになった。
ストーリーがいいゲームで、ネタバレしないようしてたのでアクションの問題点ばかり書いてしまったが、それでもちゃんと乗り越えられる程度の難易度にはなっている。
ちなみに1周目クリア時間は50時間程度。難易度下げればもっと速いと思います。
fateシリーズ初心者にも入門用としてお勧めできる良作です。
最後まで読んでくれてありがとう! 伊織とセイバーのツーショット置いときます。
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